優しくする人、優しくされる人。

第一話

「ご苦労さんです〜。いつもありがとうね。ついでにあっちもお願い出来ない?」

農地の周囲の草刈りをやっているとお隣さんから声をかけられる。

お隣さんですのでいやとも言えない。後日また声かけられる。

「もっと向こう側まで草刈りしてくれない?」

後日また「あっちの方もお願い」

「00 君、なんで関係の無いところを草刈りしてるの?」「隣の人に頼まれました。」

「そんなに草刈りしたいなら休みの日にやってくれない。今日の日当は隣の人からもらいなさい。」

「・・・。」


第二話

「あのーこちらで雇ってくれませんか?」「自転車でお見えだけど車は運転できないの?」

「ちょっと事情があり免許証がないです。」「近くなの?」「自転車で30分程かかります。」

「それで?」「植木職は経験があるのでお役にたつと思います。」

「それなら明日から試しに来てみたら」「ありがとうございます。助かります。」

数日後、当店の若い職人の車で朝、通勤してるのを見かけた。

「00君、貴方は新入の人と真逆の方角だけどどうして朝一緒に貴方の車で来るのかい?」

「迎えに来るように頼まれました。」「いつから?」「五日前から。」

「明日から行かないように。」「分かりました。助かりました。」

翌日、新入りの職人は時間まで来ないので現場に出かけた。

「社長、誰もいないのですが出かけましたか?」

「はい、明日から出てこなくて良いです。」

「・・・。」



第三話

「今日はハードな仕事だったので昼休みの後片付けて帰ろう。」皆一同「助かります。」

別な日、「今日は午後から雨模様だから早く片付けて帰ろう。」「昼休みなしで片付けます。」

ある時、「社長、今日は2時に歯医者の予約があるので帰ります。」「え?・・・。」

次の日。「今日は3時の予約です。」「どうして、まだ仕事が終わってないんだけど。」

「予約したので帰ります。」「はぁー?」

またある日「おい、まだ片付けてないんだけど終わってから帰りなさい。」

「社長、それでは予約に間に合いません。」「何の?」「歯医者の。」「何時?」「2時です。」

「分かった。明日から出てこなくて良いです。」「え?それって。」

「クビだよ。」「・・・」


情けは人のためにならず。人は貧すれば鈍する。奢れば尊大になる。

人から受ける優しささえも、される側はそれを既得権益として増長していく。

どこにでもある話。


兵庫県で大騒ぎしている。「俺は知事だぞー。」姿の変えたあくたれものである。


みやぎ野造園

1977年宮城県仙台市で開業。現在は富谷市明石にて営業。 近年は庭石の撤去工事が多く、その石を破砕して再利用した お洒落なロックガーデンやガーデニングに力を入れています。