彼岸花
朝晩は涼しくてよく寝られるようになった。
4時起きの体内時計が5時になって、出勤までの支度が忙しくなって新聞を読むのを忘れてしまう。
秋雨前線が東北の上にかかって二日連続の雨である。涼しくていい雨である。
この時期になると稲刈りが始まり、この雨で田んぼが緩み、大型農業機械が泥にハマり立ち往生してるのがよく見受けられる。
また別な台風がやってくる。
雨風で倒された稲は早く刈り取らないと発芽して等級が落ちる。農家の人はこの雨が恨めしいのだ。
麦も米も刈り取りの時期はよく雨が降る。自然相手の稼業は一年がかりの博打のようだ。
毎年収穫後に買っていた隣地の田圃のお米は今年は手に入らなくなった。
私と同い年の彼は稲作を諦めたのである。75にもなれば体力の限界は誰しもが感じる。
農地を借りている私も畑の所有者の倅から「叔父さんいつまでやるの?」と言われる。
まぁそろそろ廃業を視野に色いろ片付けている。
税務署からも過少申告の疑いで今調べられている。
これが片付いたら娑婆の負い目を綺麗にして廃業とするつもりだ。
税務署も目の付け所がいい。払うものを払ってから廃業してというシグナルでもある。
お上にはどう足掻いても逆らえないのは何も今始まったことではない。支配者がいればそれに支配されて下々の活計が守られるのであればそれに従うのが穏便な日々となる。
高速道路は無料、消費税は絶対上げないと言って当選した集団があった。
その中のリーダーが自信たっぷりとその言い放った人が財務大臣、そして総理大臣となった。
なってみれば日本のリアルな財政事情を理解した。
「消費税は上げます。」その途端その集団は消えた。
誰も忘れていない。
再登場しても簡単に公約を放り捨てる元総理大臣を支持するのだろうか。
現在の日本人はそんなに無知なのか。
世界の人々がこの日本のゴミのない姿を見て驚くほど民度は高いのである。
彼岸花は秋彼岸の前後に開花する。草木、動物に教育や知識、ましてや民度など無縁である。
己の生きる世界はしっかりと記憶し忘れない。
私たちも元総理や官房長官の裏切りは忘れない。
「春眠暁を覚えず」でなく「秋眠暁を知らず」
毛布が一枚欲しい初秋である。
寒さ暑さも彼岸まで。
お彼岸の前に先触に咲いた一輪の彼岸花。
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