幕を閉じる。
9月20日秋彼岸日から悪夢のような暑さが消えた。
古人の言い伝え通り「暑さ寒さも彼岸まで」を正確に季節はめぐっている。
どんなに暑くても蝉の声は消えたし、稲刈りは始まり例年通り地球は回って朝日の昇る位置もだいぶ南下してる。
大陸の寒気が前線を南下させ秋雨前線が気温を下げている。彼岸花が咲かないところを見ると地温が高く本来の季節の巡りは遅れてるのだろう。猛暑の幕は降りた。
若い頃から渓谷の渓流釣り、里山の鮎釣りそして海のハゼ、カワハギ、アイナメ、黒鯛釣りとよく仕事を放り投げて釣り場に通った。俗にいわれる貧乏釣り師の見本であった。
震災前の不況、いわゆるリーマンショック後の当時は仕事が少なく、よく仙台港の海辺に立った。
震災後その海辺にあった下水処理場が津波で崩壊、機能不全が三年程続いた。
その期間仙台湾に市民の糞尿を直接放出した。大量のそれは黄色い大河のような流れに見えた光景がいまだに忘れられない。以来海釣りはしていない。
幕が閉じたのである。
バブル経済の頃は山や里、渓谷渓流、海辺の風景を模写したお庭が受けた。渓流や海辺に立ち見たその風景は仕事に大いに役に立ち、それをお客様に提案すると提案された方も望郷の思いからか容易く同意され、完成の暁には涙を流して感動されたものだ。
滝や流れそして鯉の遊泳する光景に遠い故郷に思いを重ねるのか夫婦共々遠い山育となれば感慨深い思いだろう。
そんなバブル時代は過去のもので、すでに幕は閉じられている。
毎日、日課にしているお絵描きも渓谷や渓流、海岸線、波、水面の青、緑から黄色、オレンジ、赤色が入る秋色に変わって来た。
幕の閉じるのもあれば幕の開くのもある。
止まることのない時の流れに我が身を委ねて健やかに過ごせる日々がありがたい。
たわわに実った稲田、刈取が始まった。
黒潮の青、仙台湾。やがて親潮の黒に代わるのもそう遠くない。
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