静かな秋

最近は朝5時40分ごろに日が昇る。昨日の夕陽は素晴らしかった。よそ見をして居るうちにたちまち奥羽山脈の山陰に沈んだ。「秋の夕日は鶴瓶落とし」そんな言い伝えを思い出した。

過去に経験の無い極暑の今年の夏は古人の言い伝え通り彼岸までだった。9月20日の秋彼岸の前後から涼しくなった。彼岸花も正確に咲いたのには驚き、桃の木、山椒の木だった。

熱と乾燥の日々が続き植物に関わる人々はその対応に苦慮した。彼岸前後からの長雨でまた苦労した。

古老の話では暑さ寒さもまた雨量も一年を均せば例年の平均値を大きく外れないと言う。

永い人々の営みの中でさまざまな障害を乗り越える知恵と労力でそれらを乗り越えてきた。それでも自然のパワーは人力では越えられない。

彼岸過ぎに度々台風が発生したが幸い当地を直撃することもなく雨天の多い中その晴れ間を縫って稲田の刈り取りが全て済んでいる。

金木犀の匂いが消えコスモスが散り菊の花が咲き稲田に渡鳥の白鳥が点在する風景は晩秋そのものだ。

静かに過ぎる季節は仕事の世界にもある。生垣のような刈り込み仕事は夏季で松の剪定は秋季が向いている。これから松の木のあるお宅の剪定依頼が多くなる。そんなお客さんは高齢者が多い。「来年もお願いします。」「はい。ご存命でしたらまた呼んでください。」こんな別れ言葉が度々交わされる。笑っていられるのはここ2、3年だろう。老脚で梯子を登るのがきつい。お客様の存命と私の存命、早かれ遅かれ娑婆の世界と縁が切れる。

「里の秋」が聴こえてくるから不思議だ。


里山の耕作地放置にセイタカアワダチソウが蔓延している。

雑草のない世界。ここは6月から10月まで6回芝刈りをした。

秋の夕日は鶴瓶落とし。よそ見をしていたら姿を消していた。

みやぎ野造園

1977年宮城県仙台市で開業。現在は富谷市明石にて営業。 近年は庭石の撤去工事が多く、その石を破砕して再利用した お洒落なロックガーデンやガーデニングに力を入れています。